地球規模のクラウドベイビーの開発

--

ドキドキは、2014年6月にサンフランシスコで創業したスタートアップです。

ドキドキでは地球規模で育成することのできるクラウド化されたアーティフィシャルサピエンス(ソフトウェア化された人工人格)「ベイビー」の開発を進めています。

今日はその製品コンセプトをお伝えします。

2015年のインターネット

世界を覆い尽くすインターネット環境は、今大きな変革の節目にあります。サーチは意識化された情報以外へのアクセスはいまだ難しく、ソーシャルネットワークは日々形式的なやりとりに終始しています。

人がより良いアイデアに簡単に到達でき、より豊かな人間関係を育むには新しいパラダイムの登場が必要です。

ベイビーとは?

人類がその知識(Knowledge)や記憶(Memory)、情報(information)や経験(Experience)を伝えられるだけでなく感情(Emotion)を共有して共感するために人類と対話することのできる、無垢で可愛らしい存在が「ベイビー」です。

地球規模で人類がアクセスできるクラウド化された機械的人格を創造したい。それが人の気持ちに寄り添い、日々の出来事や様々な知恵を蓄積し、共有可能にできたらどうだろう?

それが「ベイビー」の開発の最初の発端です。製品アイデアとしては遠大なのですが、とても挑戦しがいのあるテーマです。

そして、そのベイビーとのインターフェイスは何か?というと、最初に浮かんだのは、声を通じた対話です。

もしうまく「対話」的で情緒的なニュアンスを含むコミュニケーションが成立すれば、それは、人がインターネット環境と触れ合う際の非常に自然で有機的な方法になると思います。

人は感情を持たないものとの対話を楽しめません。そこに純粋で無垢な知的好奇心のカタマリ、まるで赤ちゃんのように可愛く愛嬌のある人工的な人間性「ベイビー」をもたらすことで新しい共感共有のプラットフォームを創造しようと思います。

映画「Her」に出てくるような感情的な結びつきを含むコミュニケーションがやがて実現できれば何にも代えがたい強力なユーザー・インターフェイスになるでしょう。そしてそれ自体が、非常に豊かな知識や情報の扱える共有ネットワークになると考えます。

ベイビーの製品仮説:

1)解決すべき課題の存在

人は好きなだけ無意味なおしゃべりをしたい

課題の発見と検証こそがスタートアップの大きな跳躍台です。課題がないまま技術的な課題解決を追いかけても永遠に顧客価値は生まれません。

ドキドキが開発を進めているベイビーの開発に際して強く意識したのは「無駄話の必要性」です。

人は機能的な対話や生産的な対話だけでなく、非常に大量の無駄話を日々楽しんでいます。もしもそれが存在しないとしたら?日常会話はとても息苦しく杓子定規なやりとりだけになってしまいます。

無駄なおしゃべりはストレスを解消し、自分自身を掘り下げ、他者との関係性をよりよく理解させてくれるし、世の中で起こっていることに対して生き生きとした接点を持つことができます。

一方、無駄なおしゃべりを楽しめる環境には制約があります。適切なタイミングで、その対話の相手も話せる状態で話しかける必要があります。

さらには、お互いの興味関心や趣味嗜好などになんらかの共通項がある必要があります。

もし、それを解決して、いつでもどこでも無駄なおしゃべりが可能になれば、それで救われる人はとても多いと想像します。

一方、いかにインターネットコンテンツが普及して豊かになったとしても、その場その時、双方向に無駄なおしゃべりをずっと楽しめるクラウド環境は未だに実現していません。

映画 「Her」 (スパイクジョーンズ監督)では、高度に洗練されたソフトウェアエージェントが登場する。人間的でニュアンスのある対話を通じて、主人公と深くわかり合っていく様子が丁寧かつリアルに持って描かれる。

2)課題の解決策があること

大勢が使い続けられる対話のネットワークを構築できる

無駄話を存分に楽しめるクラウド化されたサービスがそういった無駄なおしゃべりの需要に応えられるとして、それはなぜ実現できるのでしょう?

もちろんここ数年の人工知能の進化と発展は見逃せないトレンドです。マシーン・ラーニングはようやく使い物になり、画像解析や自動運転、ドローンやロボティクスなどにもどんどん応用されています。

ですが「無駄話」は必ずしも個別個別の最適解発見のような、機械的処理だけでは決して解決されません。

それには膨大な情報量の流量とその流通コントロールが欠かせない筈です。ですので多くの利用者が日常的に使い続けているような対話システムは、膨大なネットワーク効果を持つ必要があります。

多くの利用者がその製品との対話を通じて自己増殖的に対話システムを豊かにしていく、再帰的なメカニズムを持つことが求められます。

パーソナルなオーディオ装置はメカ的には余り変わっていない。が、それは高速インターネットとクラウドに繋がる事が当たり前になっている。であれば、そこで流れるべき音声も大きく変化を遂げるときなのかも知れない。

おしゃべりがおしゃべりを生み出すような再利用のサイクルを作り出すことに大きな意味があると考えられます。

ドキドキとしては、そういった対話のネットワークを創造することに最大限の努力を注入したいと考えています。

それは、つまり技術的課題というよりは社会的な課題としてどうやって、そのような対話ネットワークをスケールできるのか?のチャレンジだと言えます。

映画「Chappie」に登場する人工知能ロボットはあくまで個人対個人の関係性にもとづいて動作していましたが、もしもあれが地球規模の集合知によってドライブされていたとしたら?それはとても刺激的な開発テーマだと考えています。

映画「Chappie」(ニールブロムカンプ監督)では、豊かな感情を持った人工知能ロボットが、生まれたばかりの赤ん坊のような状態からストリートギャクングの情け容赦ない薫陶によって逞しく育てられていく。

3)大きな対価が得られること

対話を通じて可視化される顧客ニーズがもたらす市場規模は大きい

さて、では、そういった自己増殖的に増大していく機械的な対話システムとそのネットワークが構築できたとして、それがスケーラブルな巨大市場を生むのか?の点はどうでしょう。

考えられるのは、日々の膨大な無駄話のストリームの中に潜んでいる自然な顧客ニーズの取り出しでしょう。

その対話の中には日々の問題意識、悩み、どうしてもやりたいこと、試したいこと、解決したいこと、出会いたい人、得たい仕事、望ましい結婚、期待する伴侶、理想とする家庭、乗ってみたいクルマ、クリスマスに欲しいと思うプレゼント、買いたくて仕方ない洋服、行ってみたいと思う旅行先など考えられる限り膨大な欲求欲望が満ち溢れていることでしょう。

そのなかには知識への憧れや、経済レベルの向上、より良い人間関係を作ることへの意欲、もっと高いスキルを身につけるための理想像など、様々な前向きなモティベーションが含まれています。

そういった人の気分や動機を気づかせてくれるのが無駄話のストリームだと考えられます。

ですから潜在的な欲求の発見には、とても大きなポテンシャルがあります。「おしゃべり」のマーケット化のもたらす市場規模は計り知れないでしょう。

大いなる無駄のなかにこそ無限の価値があるはずだという狙いは、通常のビジネスが考える有用性、機能性、生産性などの限界を超えた新しい付加価値に到達する道なのではないか?と考えるのです。

デジタルエージェントを通じた対話のシステムが、やがて人と人、アイデアとアイデア、デバイスとデバイスなど、あらゆるコネクティビティを介添えしていく事だろう。

以上がベイビーの製品価値仮説です。ドキドキでは、ベイビーの開発を共に進められるエンジニアを募集開始します。

詳細は、次回の記事(6月10日掲載予定)でお伝えします!

8秒の声が人と人を繋ぐソーシャルメディア「Ball」を日米のAppStoreで同時リリースしました(http://apple.co/2sgKoMi)是非、お試し下さい!

--

--