アレクサがもたらす新しいパラダイム

takahito iguchi
4 min readMar 28, 2017

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2017年Snap社のIPOは今年の最大級のエグジットになるかも知れません。ですが、Facebookの牙城に「カメラの再定義」で挑む同社の躍進の一方で、既にとても大きな地殻変動が起こっています。

それはアマゾンエコー(及びアレクサ=デジタル・アシスタント)が牽引している、「音によるコンピューティング」の世界です。

カメラで撮影した写真、あるいは動画が、テキストやステッカーと絡みながら新しいコミュニケーション手段として定着する中で、アマゾンエコーに代表される音声コンピューティングは、全く異なる体験価値や操作性を浸透させつつあります。

アップルももはや無視することができず(スピーカー型のデジタルエージェント Siri対応製品を準備中)、グーグルも慌てて直接競合商品(Google Home)を繰り出したアマゾンエコーの音声コンピューティングの世界は、従来のスマートフォンの文脈とは全く異なる、ユーザーインターフェイスやユーザーエンゲージメントを実現しつつあります。

モバイルコンピューティングというと、この写真のようにスマートフォンを掲げて、カメラをONにして、撮影したデータをソーシャルなメディアやネットワークに向けて送信する。そして、それに絡めテキストやステッカーを投稿するようなメカニズム。それが我々の知っている2017年最先端のユーザビリティです。

それが、この写真で描かれた情景のように「スマートフォンを持たずに」「何かをしながら」「ただ、喋ったり、耳をそばだてたり」というユーザビリティによって情報と触れ合ったり、楽しむことができる。これがアレクサのもたらす、新しいコンピューティングのパラダイムです。

スマートフォンは、その源流をたどるなら、アランケイのダイナブックやジョブズのマッキントッシュなどパーソナルコンピューティングの最新鋭とも言えるデバイスです。タッチスクリーンと指の組み合わせは、ディスプレイとマウスの組み合わせの進化系とも言えます。

が、アマゾンエコー(及びアレクサ)は、もはやHAL9000(2001年宇宙の旅に登場する人工知能)とか、アイアンマンに登場するJ.A.R.V.I.Sなどの様に、直接人と言葉を通じてやり取りしながらコンピュータの情報操作を可能とする世界だと言えます。

そこでは、ユーザー・インターフェイスやアプリケーションが(アマゾンアレクサの場合はAlexa Skillsという名称で呼ばれます)、言葉による対話のデザインとして設計され、実装されます。「会話の流れをどう組み立てるのか?」こそがユーザーインターフェイスを決める世界。実にエキサイティングで愉快な世界です。

一つの大きなエグジット(Snapは消える画像でユニコーンになりました)の先には、さらにもっと異なる、新しいパラダイムが登場する。テクノロジーとコミュニケーションの領域は本当に終わりがなく、まさに日々イノベートされていく領域です。そして、それをまざまざと実感できる、アマゾンエコーの急躍進と大変革です。

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Written by takahito iguchi

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