オーディブルコンテンツの時代
アンカーの新規資金獲得は「音の時代」の到来を物語っている。
アンカー(Anchor)がグーグルベンチャーズのリードで10ミリオンダラー(約十億円)の資金獲得をしたニュースが配信されたのは9月28日のことです。
そしてこのニュースが示しているのはソーシャルなポッドキャスティング市場の可能性と言うよりは Amazon Echoに代表されるスマートスピーカーやApple AirPodsのような飛躍的な成長が期待されるヒアラブルデバイス向けのオーディオコンテンツ市場の可能性の大きさだと思います。
それでは、さて、オーディオコンテンツ市場という時のその可能性のコアは何なのでしょうか?
音を録る。音を共有する。
まず最初に言えるのは「聴くという行為」に対応した「録るという行為」の再定義の必要性ではないでしょうか?
僕らはカメラで画像や映像を撮る行為にはとても慣れています。が、音を録るという行為はそれに比べるとまだまだ黎明期または(デジタル時代に於いては)過渡期ともいうべき、初期段階にあると言えます。
かつてテープレコーダーの時代であれば音を録ると言う行為はかなり普通に行われていました。が、スマホで音を録ると言う行為は必ずしも一般的ではありません。
ですので、プロコンテンツ以外にコンシューマーがコンテンツを創造して共有するという時代を作っていくためには、先ず「録る」と言う行為を広める必要があります。
そして、もう一点大きなポイントとしては「音を共有し拡散する行為」の台頭があります。
現在、画像と映像がここまで広まって、非常に大きなメディアとして君臨している背景には、そのシェアをする行為が存在しています。
今はまるで当たり前のように行われている画像や映像のシェアも、当初はもっとギコチなく、不安定なものでした。
フェイスブックなどソーシャルメディアがインラインで特別な設定や準備などもなくシェア出来るようになったことで格段に普及しましたが、それまでウェブは主にテキストで成り立っていました。
ですので、音の時代の到来においては、その入力(録音行為)だけでなく出力(共有行為)の普及がどうしても欠かせません。
オーディブルコンテンツの時代の到来は間違いありません。
現状のスマートスピーカーには独自コンテンツの提供はまだありません。
つまり、既存のストリーミング音楽やニュース音源などのありきたりで枯れたコンテンツはいわば過去の市場の焼き直しに過ぎませんし、物量的にもスケールの限られたものです。
新しいデバイスやプラットフォームには新しいユーザー生成コンテンツやソーシャルネットワーキング、コミュニケーションの発明が同時的に発生します。そして、その結果として、ユーザーの集合的なコンテンツ生成やネットワーキングがマーケットをどんどん拡大成長させていくのです。
現状はその兆しはまだまだ明確化しておらず、そのポテンシャルは不透明なままです。でも、今回のグーグルベンチャーズによるアンカーへの投資は、その兆しを垣間見る上で非常に有効な手掛かりと言えるでしょう。
今後グーグルホームなどでアンカー発生のコンテンツが活用をされていくことで、ますますそのポテンシャルは顕在化していくでしょう。
我々のボール(Ball)は人が音を録る行為と、それをシェアする行為とを共に新たにデザインしようとしています。
それは過去に於いて、画像や映像のメディアが台頭してきた流れと類似と思いますが、画面中心のデザインで成り立っている画像や映像中心のコンテンツとはまた異なる体験性のデザインが不可欠と考えています。
16秒で音を即録音してシェアできるボールは今日最新バージョンをリリースして、世界155か国に向けて配信されました。是非、その新しい体験性を確かめてください!