ピッチバトルは、まさに戦場だ。
ジェイソンの本が増刷された!らしい。発売一週間での増刷決定は素晴らしい。
さて、僕自身がジェイソンの主催するイベントでピッチをした経験は最初がTechCrunch Disrupt の前身 TC 50( 2008年)でのセカイカメラのプレゼンテーションで、続いて2011年に初めて開催されたLAUNCH カンファレンスでの「domo」(位置情報を使ったSNS)のプレゼンテーションが2回目になる。
LAUNCHでのピッチコンテスト参加者(その時点では候補者に過ぎない)との事前打ち合わせはシリコンバレーサンドヒルズロードど真ん中のセコイア(アメリカでもトップクラスのベンチャーキャピタル)のオフィスで開催された。
TC 50 以降そのイベント主催を降りたジェイソンが一念発起して開始した LAUNCH は、その会場も、TC 50と同じサンフランシスコデザインディストリクト敷地内。
呼ばれている審査員他も相当被っていたのだけど、その後AOLに買収されAOLカラーが濃くなっていくTechCrunch Disruptと比べて、より手作り感があって親しみ易いスタートアップイベントとして支持されていく。
さて、その当日の事前打ち合わせ@セコイアキャピタルでの様子。ジェイソンの審査が何しろ凄かった。
「よくわからない、抽象的すぎる」
「詳しく数字を教えて」
「その表現だと、十分に製品の魅力が伝わらないと思う」
次々展開される起業家たちのプレゼンテーションに対して、その場で即打ち返される矢継ぎ早の問いかけ。頭の回転速度が並みじゃない。
そして、多くの場合の投資家質問がある意味決まり切った定番的な確認作業になることに比べたときの、彼の切り返しの鋭さと、その製品アイデアを本質的に深く理解して、より内面に入り込もうとする共感力に驚かされる。
LAUNCHはその未知数の起業家を見出して、その本質価値を見出して、良い投資家に紹介し、さらにその起業家と製品を磨き上げていくプロセスの入り口を担っている。だから、彼のその指南スタイルはエンジェル投資家の目線そのものなのだ。
実際のところ僕自身のプレゼンに関しては驚くことに、ほぼ一発オッケーが出てしまい。そのマシンガントークに滅多打ちになることは無かった!のだけど、その激しくも優しい指南をハタで聞いているだけでも素晴らしい体験だった。
LAUNCH本番では準備していたデモアプリもほぼ想定通りに動作し、グーグルとフェイスブックとフォースクエアなどを激しくディスったそのプレゼンは「いったいどういう製品なのか?良く解らないけど、凄そう!」という、褒められているのか貶されているのかよく解らない Yossi Vardi 氏
(イスラエル伝説の起業家で投資家)のコメントに表現されるように、少なくともインパクトだけは与えることが出来た。
今ビデオを見直しても良く分かるのだけど、質疑応答の最中ずっと丁寧にフォローしてくれているジェイソンの思いやりとサービス精神には頭が下がる!
そんな訳で、自分自身いろんな意味で大きな節目節目にお世話になっているジェイソンなのですが、この本がきっかけでもっと日本でも知られるようになると良いなと思います。
「エンジェル投資家が世界を変える」というのはまさにその通りで、いかに素晴らしい製品とチームとビジョンが揃っていたとしても、それを見出して世の中に届ける最初の起爆剤はエンジェル投資家の力量に大いに依っているのです。
ピッチバトルはまさに戦場!だけど主催者も審査員も皆仲間、激しい叱咤激励ほどありがたいものは無いのです。中でもジェイソンの繰り出すマシンガントークは起業家マインドを芯にした愛あるハードパンチなのです。