ベイビーの新バージョン開発中。
人は一人で生きているわけではない。
人の偉大さとは、人との関わりにおいて、自分一人で為せないことを為せるという、社会的な創造性にあると思う。
どんな日々の営為でも、あるいはどんなに特異な創造的営為についても、一人で為せることはなく、人と人の結びつきが起点になる。
例えば、それが時間を超えた、過去や未来とのやりとりを通じたものだとしても、そこには人と人の協力関係が必ずある(そういう意味では、書物もコミュニケーションの道具だと言える)。
僕個人が、このドキドキでコミュニケーション製品の開発と提供に強く惹かれ続けており、それと同時にベイビーという製品でコミュニケーションの新しい標準を作りたいと強く思うのも、コミュニケーションとテクノロジーとが結びつくことで生まれる"マジック"について、とても大きな可能性を感じているからだ。
ソーシャルネットワークやメッセージング・アプリがもたらした革命は、未だその端緒にあると考えられる。
今後、2010年台後半は、クラウドAIが本格的な発展と普及を遂げる(クラウドとAIの結合は、まさに目の前で起こっている)。それは、間違いないだろう。
が、それでも、人が人と通じ合い、協力をするためのスキームは何らかのコミュニケーションを通じて形成され、やりとりされ、プロセスとして進んで行くことに於いては変わりない。
昨年来Facebookがもたらした Botの大きなムーブメントはまだ絵に描いた餅に過ぎない(人との対話には程遠い!)。今のところ Botとの対話に人間的な意味を感じられるほどの進化は、残念ながらまだ成し遂げられてはいない。
だが、人とマシーンが対話するそのコミュニケーションに於いても、それはやがては人間的な対話型コミュニケーション、つまり"おしゃべりの発展系"として成長・発展していくことになるだろう。
人と人のみでなく、人とマシーンの対話も、おしゃべりの進化系のカタチをとる。
人にしろ、コンピュータにしろ、何らかの言葉、または概念、何らか言語的な対話プロセスを用いて、相互協調を探っていくこと自体は当分の間変わらないだろう。
その領域が文字軸から声(おしゃべり)を軸にした対話へと進化していくことは歴史的必然とも言える。
また、テキストチャットのような、文字をベースにしたボットの世界は遠からず(数年単位で!)音声のチャットをベースにしたボットの世界へと展開していくと思う。
ベイビーの新バージョンでは、「声の出会い」からさらに進んで、日々のおしゃべりの継続的発生プロセスに注目した、よりユースケースの見え易いものになる。
そこでは、より常用性が高く声(おしゃべり)によるコミュニケーションを担うインフラへとステップアップを成し遂げることが、最大の狙いになる。それは、声を中心にしたメッセージングサービスとして、今までに無い新しい体験性を提供できるものになると確信している。2017年春はその起点になる重要なタイミングだと考えている。