声のソーシャルネットワークとは何なのか?AirPods Pro時代の新しい人と人の繋がりを考える。その2

愛されるアプリとして磨き上げていくには、何が愛されているのか?を正確に知るべき..。でも それは簡単じゃない!

takahito iguchi
Feb 11, 2020
アクセシビリティ機能でスマホを操作することなど、当時は全く知りませんでした。

ダベルはブラインドコミュニティに見出されて愛用されることでようやく浮上しました。ただ、視覚障害者の皆さんがどうやってアプリを使いこなしているのか?という初心者レベルの理解がそもそもダベルチームにありませんでした。

ここでは簡単に説明し切れないのですが、アップルの各種OSにはデバイスの種類を跨ってアクセシビリティ機能が実装されています。

特に視覚障害者向けにはボイスオーバーという音声でアプリ画面内の機能を簡単に使えるようにする機能が提供されており(アプリ内のメニューやボタン、画面上のテキストなどをタップすると読み上げてくれる便利機能です)、それによって画面が見えなくてもアプリが使えるようになっています。

アップルのアクセシビリティ対応は歴史もあり、筋金入りなのです。

そして多くのアプリは余りそれに対応していないため(そもそも、ボイスオーバー自体があまり知られていない)多くの視覚障害者の方々が、デジタルデバイスの利用に苦慮されている。

そこでダベルではこのボイスオーバー機能をパーフェクトに実現したいと考えて日々チューニングを行ったのでした(今でもこの試行錯誤は続いています...)。

ただ、それ以前に、なぜそもそもダベルがこんなに愛され驚くほどのエンゲージメント(ユーザー利用時間)やマストハブサーベイ・スコア(明日そのアプリが無くなったらどれくらい困りますか?のサーベイ回答で推定されるユーザー渇望度)を得られているのか?のポイント=その製品の持つ、本質的なユーザー価値のありかが何より気になっていました。

自分が抱いている価値仮説ではなく、本当にユーザーの皆さんが愛してくださっているコア価値が何なのか? を正確に理解したい!と思いました。

ダベルのワークショップでのスケッチなど。本当に苦心惨憺しました。

声のライブストリーミング ラジオなのか?声のソーシャル ネットワークなのか?

ダベルはかなりシンプルなアプリながら、

1)声の配信ができる

2)それにチャットで絡める

3)その気になれば、一緒におしゃべりできる

4)配信した内容を記録して、後で誰でも聴き直せるなど、音声アプリとしていくつかの機能を有しています。

では、何が一番ユーザーの皆さんに刺さっているのだろうか?という強い疑問がずっとありました。

声で共同配信できる=つまり、一緒におしゃべりできる。それだけでコア価値の存在を断定できると良いのですが、ダベルの場合ソーシャルラジオとして始まりました。

つまりコミュニケーション・アプリと言うより個人が音声コンテンツを楽しむため(ソーシャルラジオとして)製品デザインされていたので本当に愛されている製品価値のコアを見極めるにはかなり時間が掛かりました。

ただ、そこに居るだけで良い。話したければ話せる場所。

そもそも言葉にするだけで救われること、多くないですか?

果たして人との触れ合いが中心なのか?それとも、声のコンテンツを自由に楽しめればそれで良いのか?ずっと断定することが出来ずに居ました。

その考察にはユーザー行動分析やユーザーサーベイ、デプスインタビューなどを繰り返し行った上、かなりの時間を掛けて仮説検証を行いました。昨年の12月に行ったこのユーザー製品価値検証プロセスは決して容易なものではなく、チーム一同ヘトヘトになりながらやり遂げました。

結論から言うと「人と(その気になれば)喋り会える空間に、一緒にいることが出来る」のがコア価値であると言うのが我々チームとしての結論です。

「いつでも、どこでも、誰かと何かについて、おしゃべりが楽しめる場所に、他人と共に居られること」それこそがダベルの発揮すべき製品価値のコアだと考察しました。

そう、最初は「個人が個人に向けて語りかけるソーシャルラジオ」として始まったダベルはやがて「個人と個人が共に配信できる進化系ソーシャルラジオ」として進化し、それを気に入ってくださった皆さんが使い込んでくださることで、「いつでも誰とでもおしゃべりが出来る空間に居られる声のソーシャルネットワーク」として実を結びました...。

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Written by takahito iguchi

Tonchidot & Telepathy & DOKI DOKI!!

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