声のソーシャルネットワークとは何なのか?AirPods Pro時代の新しい人と人の繋がりを考える。その3
声によるコミュニケーションを通じて新しいソーシャル空間が生まれつつある。それはなぜ多くのブラインドの方々に愛用されているのだろうか?
と言うと、なんだか製品完成しました!と言う言い切りに聞こえてしまうのかも知れません。が、実際にはそう言うわけでは全くなく、我々はまだまだ大きな課題を抱えています。
それは、そのコア価値(今は Live Audio Meetups と言う製品タグラインにしています。昔は Social Audio Streaming と呼んでいました)をちゃんと届ける上での様々な参加障壁や技術的問題点をクリアすることです。
いくら製品価値を正確に把握できたとしても、それが解りづらかったり使いづらかったり、利用時のストレスが大きかったり、安定感がなかったりすると台無しです。
そもそも、誰かと安心安全にいつでもどこでも喋れることの安定的な体験提供は、いつまで経っても簡単に維持・向上できるものではありません。
ダベルのコミュニティとしての健全性やオープンさの維持は、いつまで経っても、慎重で根気強い努力と改善の欠かせない事業だと思います。
声のソーシャルがなぜ必要とされているのか?の一考察
とはいえ、視覚障害者の皆さんが製品を日々愛用してくださっていることにはきっと理由があるのだと思います。
それはなかなか外出が困難だったり、健常者に比べると社会との接点を持ちづらかったり、あるいは現在のソーシャルネットワークが、多くの場合視覚的要素を主たる要素としている(テキストや画像・動画など)ことによる弊害がダベルには存在し無い。など、多々思い付きます…。
ただ、考えてみると、視覚要素には依存しない、声を通じた人と人の出会い、触れ合い、交流にはそもそも大きな潜在的価値がありそうです。
見栄えを追いかけて視覚的な魅力を競い合うことによる弊害やその結果、人間的な本音の繋がり合いを失いがちだったり、場合によっては言いっ放しの書きっ放しでお互いが傷つけ合うような暗黒面がもたらすマイナス面もあります。
そしてソーシャルネットワークならではのマイナスポイントは、今日ますます明らかになっているように感じます..。ツイッターが誹謗中傷で人を殺めてしまうような事態を、その普及初期に誰が想像できたでしょうか?
声で直接お互いが語り合うことは場合によっては実名のFacebookでの交流以上に生々しく人間味があります。
それはどちらかと言うと(声で語り合う以上)一定時間が掛かるプロセスですし、知らない人との対話が引き起こす”恐怖感”のような感情も決して無視できません。
それらを乗り越えても、人と直接声で話すことには価値があると確信しています。
結びとして『人の孤独が他人の孤独を癒す助けになる世界』を志して..。ディスり合うソーシャルネットを越えて。
例えば、Twitterのような非同期の文字コミュニケーションは顔が見えない上直接対話的なリアルタイムのインタラクションがないので言いたいことを言いたいだけ吐き出して、お互いがすれ違ったまま険悪な状況がずっと続くような場合もよくあります。
その一方実際に使っていただけたら、ダベルの体験価値はご理解いただけるはず!と思っています。とはいえ私たちは上で触れたようなソーシャルネットワークの現状に多少幻滅しながら、まあまあ便利さもあるし、もちろんその中毒性も侮れないので TwitterやFacebook、Instagram などを日々使い続けている訳です。
が、直接、生の「人」と「声」で語り合うことの体験は同じくソーシャルネットワークと呼びながらも、その実大きく製品価値の異なるモノなのでは無いか?と、常々感じています。
人が人の声を通じて感じるニュアンスやテイストは、本当に豊かで奥深いものです。
それが世界中 誰とでもいつでも会話可能になることで、やがて人の抱える孤独感が決してマイナスなものだけではなく、お互いを理解し合う原動力になるのではないか?そういった想いが私には有るのです。
まだまだ未知数の我々のダベルですが、視覚障害者の皆さんによる日々のご愛用を糧として製品としてますます良くなっていくと確信しています。
もし自分が味わった、あの辛く厳しい孤独の体験が何か新しい価値を生み出したとして、ダベルを通じて新たに社会との接点を見出して、より良い人間関係を作れる人達が一人でも増えるとしたら、本当に素晴らしいと心から思います。
その為にもチーム一同ますます改善と改良に向け努力し続けたいと思っています。
3月開催のSXSW 2020にはダベル・チームとして参加する予定ですので、ぜひ現地でお会いできたらと思っています!See You SOON!!!!