製品がない起業家は、持ち歌がない演歌歌手みたいなものだ。
製品がないのに営業(講演とかプレゼンなど)をお願いされても、本当にやれることがない。または、幾らか有ったとしても空疎感が凄い。
そう、起業家はその製品で語るほかない!のだ。
本質的にあるべきは、製品そのものが独り歩きしてユーザーの皆さんに愛されて信用を獲得することだ。
製品を通じた世の中との「紐帯」以外に頼れるものはない。
Snapchatは、そういう意味では実に良い感じに成長を遂げている。一方、PeachやAnchorは失墜してしまったように見える。そこで感じるのは時代の変化に即した、「対話的な」製品進化だ。
とても小さくても良いので、製品価値=体験価値を支持する人達に固有の価値を届け続けられること。
小さい固有価値を、少なくても良いので、日々愛し続けてくれる人に到達させられること...。それしかない。
逆に、多くの機能を多くの人に届けよう!とすると、継続的な愛着のある対話関係をユーザーの皆さんと続けることが難しくなる。
語り合うべき機能が多すぎると、いずれも中途半端でバラバラ、なかなかそれでは愛を育めない。
Peach と Anchor の陥った穴
Peach は TwitterとLINE の良い所のアマルガムのように感じる。が、それが固有の体験価値を必要とする人に届けるというレベル迄は至ってはいなかったように思う。すると、製品の自然な進化は進まなくなる。
Anchor はユーザーインターフェースの優れたソーシャルポッドキャストだと思う。が、インタラクティブに聴き続けられる固有の親密さ、固有の楽しさのレベルまでは至っていなかったように感じる。
そうすると、結果、Peachと同じように、自然な製品進化が停滞してしまう。ユーザーエンゲージメントの欠如はマーケティングでは補えない。
性急なバージョンアップや機能追加が難しいのは、上のような状況をもたらしてしまうからに他ならない。
大きい仕事も一歩一歩、こつこつと。
小さいユーザーエンゲージメントを確立しない限りは、その製品の成長はどう抗っても達成できない。
すなわち長期的なユーザーとの関係性確立には至らない。それでは、世界を変える製品を世の中にもたらせられない。